人生100年時代における資産運用との向き合い方
今回は米国株投資家/ブロガーとして著名なたぱぞう氏と、同氏と10年来の交流があるという不動産投資家よねちゃん氏の特別対談をお送りする。
たぱぞう氏プロフィール
2000年より投資を始める。
2010年以降、米国株投資を中心に行う。
2016年自らの投資観をブログにて書き始める。
現在平均月間100万PV、海外投資に特化したブログとしては出色のPVを誇る。
2017年より、某投資顧問業にてアドバイザーを務める。
以前スピーカーズ編集部もインタビューをさせていただきました!
よねちゃん氏プロフィール
今回、スピーカーズに新たに講師として掲載をさせて頂きましたよねちゃん氏。
建築・開発行為などの業務に長期に携わり、大規模土地開発事業のプロジェクトリーダーなどを歴任された都市開発のプロフェッショナル。
一方では個人投資家として不動産投資/賃貸運営を実践。
専門知識を活かした賃貸運営・投資を通じて成果を上げていらっしゃいます。
今後、講演活動にも取り組まれていくとのことで、講演依頼のスピーカーズに掲載をさせて頂きました。
ブログでも不動産投資の情報を発信中。
本業、執筆、投資活動と多忙なお二人に、オンラインで取材をさせて頂きました。
テーマは「人生100年時代における資産運用との向き合い方」。
米国株、不動産とそれぞれ領域は異なっているお二人に、どのようなマインドで資産運用に向き合っていくべきか、心構えを伺いました。
不動産投資家 よねちゃん氏とは
–よねちゃん様も個人の兼業投資家ということですが、これまでにも講演やセミナーといった場でお話をされてきたのでしょうか。
よねちゃん氏(以下、よね)はい。これまではクローズドな場で、不動産投資についてお話をさせていただいて来ました。
投資家仲間に向けてお話をして参りましたが、今後は初心者の方やこれから始めたいという方向けにお話をしていきたいと思っています。
–そのように思われたきっかけは。
よね 最近、ニュースでも不動産賃貸に関する話題をよく見かけるのではないでしょうか。
賃貸経営も含め、不動産投資は大きく失敗すると取り返しのつかないジャンルでもあります。
たとえば、賃貸物件が国の定める安全基準に達していなかったり、某地銀が融資したシェアハウスが大問題になったりと。
そうしたトラブルに巻き込まれる方々が、世間にはたくさんいらっしゃるのも事実です。
これまで学んだ知識や経験をお伝えすることで、そうした人が少しでも減れば、と思っています。
–たぱぞう様とよねちゃん様のお二人は10年来のお知り合いであると伺いました。
たぱぞう氏(以下、たぱぞう) そうですね。投資家仲間です。よねちゃんさんは都市開発の専門家なんですよ。
–そうなんですね!専門家としての知識を活かしつつ、兼業投資家としても活動されていらっしゃると。
よね そうですね。
2018年の振り返りとこれから
–2018年に不動産業界において重要であったトピックを教えてください。
よね 2018年はこれまで続いてきた不動産投資ブームが曲がり角に差し掛かった年でした。
年のはじめに「かぼちゃの馬車」の問題が表面化しました。
これまでは、サラリーマン投資家への融資基準が割と緩かったんですね。
それが適正な基準へと戻ったという意味では、ターニングポイントであったと言えます。
–米国株において重要だったトピックを教えてください。
たぱぞう 米国株に置いては金利が高くなりましたので、先行きに対する不安が出始めました。
–注視されているポイントは?
たぱぞう 今年は長期金利の利上げをしないということがFOMCから発表されました。しばらくはこの相場環境が続いていくのかなと。
(S&Pの)2800という天井をブレイクアウトするには何らかの材料が必要です。つまり米中貿易交渉の行方次第、ということです。
それが非常に楽しみですし、それを楽しめるようなポジションで相場と関わるというのが今年のテーマです。
–今年予定されている消費増税と不動産業界の関連はどう見ていますか?
よね 建築の分野では、消費税が5%から8%に増税された際には一般住宅界隈が非常に落ち込みました。
これを受けて今回の増税では、ポイント還元や住宅ローン減税枠の拡大などが対策が講じられています。
一方、不動産投資の分野ではそういった優遇策は無い状況です。
賃貸住宅に関して、居住用の家賃には消費税は課税されません。
しかし、ランニングコストやリフォーム費には消費税がかかります。
増税分のコストは家計も圧迫しますので、それを家賃に転嫁するのは難しいのです。
また、新規の賃貸住宅の供給が過剰になっています。
新築なのに部屋が埋まらない、という状態が珍しくなくなっているのです。
過当な供給は今後、整理されていくでしょう。
これらをトータルすれば、プラスの要素とマイナスの要素が両面あるので、消費増税は不動産投資において大きな影響を与えないのではないかと考えています。
–なるほど。釣り合いが取れて適温相場が続くと。
よね そうですね。
もし経済停滞が発生し、金融機関による融資状況の変化が起こるとすれば、そちらのほうが影響が大きいのではないでしょうか。
–たぱぞう様は新卒で働き出した頃から株式投資を始めたと、ブログ内で述べられていますね。
よねちゃん様は都市開発のご経験を生かして不動産投資を始めていらっしゃいます。
共通するのはお二人とも兼業・個人投資家というポイントです。なぜお二人は投資の世界で成果を残すことができたのでしょうか。
たぱぞう 相場に残るには臆病であることと、人と違うことをやることに抵抗がないことが大事なのかなと感じています。
昔から、周囲のみんなが買っているものに対して疑いを持っていました。
そこがプラスに作用したのかなと思います。
去年はAmazon株が大きく上がりました。
200ドル台だったころからウオッチしていましたが、臆病なのでなかなか手が出せませんでした。
結果的にはそこまで儲かりませんでしたが、負けてもいません。
20年間相場を乗り切ってきたのは、こういったところが影響していると思います。
よね 実は不動産の場合、数値化しやすい要素が多いんです。
融資金額や期間、物件の市場価格、固定資産税の評価額、賃料の相場、空室率など。
一つ一つ調べていくのは大変に手間ですが(笑)、きちんと計算ができる分野です。
株式と異なるのは、例えば賃料は景気が良くなったからと言って毎年1割上昇するようなことの比較的少ない、緩やかな曲線で推移する相場です。
買う際にはきちんとシミュレーションすることが出来るのであれば、リスクは少ないと感じています。
いい物件は取り合いですから悠長に構えていることはできませんが。
数値化とシミュレーションをきちんとしてきたことが、これまで順調にやってこれた理由でしょうか。
–よねちゃん様からみてたぱぞう様の投資のスタイルの強みはどのあたりでしょうか。
よね 本人は臆病と仰るのですが、大胆だと感じるところが結構強いです。
市場が盛り上がっているところでしっかりと利益を確定しているところや、いつも冷静でいるところ。
市場の温度感以外にもきちんと判断基準を持っているところは凄いなと。
–よねちゃん様はたぱぞう様とお話をしていて、例えばご自身でも株式投資などをやってみることはあるのでしょうか?
たぱぞう よねちゃんさんは都市開発のプロですから、現物を取引したほうが手っ取り早いんですよ(笑)。
それぞれの投資対象の魅力
–資産運用と一口に言っても対象は実に多様です。資産運用時の投資対象としての米国株の魅力とはどこでしょう。
たぱぞう それぞれの企業のガバナンスがしっかりしていて、株主に損をさせないようにする仕組みが整っているんです。
多くの企業で自社株を償却していっているんです。
平均すると約1割ずつくらい。企業によっては4割も自社株を減らしています。
その期間、きちんと売上や営業利益、ROEを出しています。株主としては安心できる材料が揃っています。
少し前にTwitterで話題になっていましたが。
日本企業では、ワラント(=MSワラント、行使価格修正条項付新株予約権)を発行して一株当たりの価値を下げるような、株主軽視とも取れる行動が多すぎる。
米国株においては「持っていれば価値が上がる」というのは、株主・投資家に対して強烈な訴求力がありますね。
–不動産投資の魅力を教えてください。
よね 不動産投資にも複数種類があり、一般的にはREITなどを指す事が多いです。
一方で私は現物で、賃貸物件の経営を行っています。投資には代わりありませんが、どちらかというと不動産賃貸経営といったほうが適当かもしれません。
つまり、不動産賃貸業であり、事業経営です。
自分が得た知識や経験が活かせる、それらが実になっていくこと。
市場動向が悪いときにはそういうときなりの進め方がありますし、どういう時期でも参入することは可能です。
実は自分でコントロール出来る部分が非常に多いというところが魅力だと思っています。
投資の第一歩とは
–20代、30代が資産形成、おカネへの対策をしていく上で第1に取り組むべきことはなんでしょうか?
たぱぞう 学生なのであればまだ若すぎるので、まずは自分の属性を身につけること。
勉強しないと米国企業の財務の数字を見ても理解ができません。
不動産投資をやるにしてもそうです。なぜなら不動産業界では本人属性から物事がスタートするからです。
職業柄、融資されにくい状況だと厳しいですからね。
不利な状況からスタートするより、有利な状況に身を置いたほうが良い。
ある意味では、周囲からの定量的な評価というのは出身校であったり就職先の企業であったりするわけです。
就職している方であれば、節約してタネ銭を作って、それを元手に増やすということです。
いろいろな誘惑がありますし、自己投資との兼ね合いもあります。
しかし、おカネがおカネを作り出す仕組みづくりをしていかないと、なかなか拡大戦略は取れないでしょう。
–よねちゃん様は投資の一歩目についてどうお考えでしょう。
よね いきなり不動産投資と言っても難しいかもしれませんが、住む場所として考えれば誰しもが必要なわけです。
賃貸か、買うかという選択が出てくるとは思いますが、今の20~30代の親世代は「夢のマイホーム」をスローガンに働いていました。
でもこれからはそういう時代ではありませんから、そうした思想の影響は受けないでほしいのです。
もし買うのであれば資産としてきちんとシミュレーションすること。
市場価格より安く買うこと、賃貸に回した場合いくらで貸せるのかなど。
たぱぞうさんも仰っていましたが、日々節約し、税の控除なども受けながら住宅ローンを早く返してしまうこと。
すると一つ賃貸物件ができるわけです。
子どもが大きくなって広い部屋が必要になったら、改めて住宅ローンを組むことで住宅ローン控除を再度受けることができます。
すると担保のない物件になりますので、まとまった金額がなくてもその物件を抵当にいれることで違う物件を買うことができたり。
早い時期から取り組むと、最終的には大きな資産になっていくのです。
もし購入するのであればこうした視点でシミュレーションして、資産の一つとして設計していくと
大分変わってくるのかなと思います。
–なるほど。米国株にせよ不動産投資にせよ、まずは運用資金を作ること、本人属性を向上させるための努力。日々の節約などは共通していそうですね。
お忙しいところありがとうございました!
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Web:たぱぞうの米国株投資
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